トヨタのハイエースのスマートキーで開錠できず、盗難防止の警報が鳴った
私は天井裏のベッドから這い出して、外の新鮮な空気を吸いたくなり、外に出ることにした。
朝6時に目が覚めた。まだ、太陽は昇っていなく、うっすらと空が明るくなりかけていたところだった。
しかし、スマートキーの開錠ボタンが効かなかったのだ。何度押しても、開錠しない。

仕方なく、私はスライド式のドアを手動で開けようとした。
その瞬間に警報音としてのクラクションが鳴り響いた。「パーン、パーン、パーン・・・。」
盗難防止用の自動警告装置が作動したのだった。

私は思った。「なぜだ。内側から開けているんだから、問題ないだろう。一体、どういう仕組みなんだ。とにかく、警報音を停めないといけない。」
キャンピング場のみんなを叩き起こしている警報音をなんとかとめないといけない、と思い私はパニックになった。警報音は鳴り続けていた。
運転席に座り、周辺をいろいろ見てみたが、警報音を止めるスイッチは無かった。そうこうするうちに、警報音は勝手に止まった。その間、20秒くらいだった。

私はJucyレンタカーの整備士を恨んだ。警告システムがどんな場合に作動するのか、そして、それをどうやって止めるのかを説明してくれなかったことを恨んだ。
私は一人で懺悔した。「みんな、起こしてすいませんでした。」
しかし、災難はこれで終わらなかった。
運転席のドアにある「一斉ロック解除ボタン」で開錠するなら、無理矢理、人力で開けたことにならないから、システム的に大丈夫だろう、と思った。そして、それを実行した瞬間にまた警報音が鳴り響いた。
私はハンドルに額を付けて、閉口した。当然、まだ止め方を知らないので警報音が自然に止まるのを待つしかなかった。本当に長い時間だった。
監禁状態の私は思った。「いったい、どうやったら、私は車から出られるのだろうか。」
未明から、車内監禁された私はスマホで必死に「ハイエース、スマートキー、開錠できない」で検索し、日本を忘れてニュージーランドに来たというのに、日本のサイトを調べまくることになった。
キャンピングカー生活が始まって以来、Jucyレンタカーに対する怒りとキャンピングカー旅行自体は楽しいことが交互に押し寄せている状況に私は未明から最大限に苛立った。
スマートキーが動かない原因と、盗難防止システムの警報音を止める方法
後日、調べて分かったことだが、警報装置の仕組みを知らなかったことと、スマートキーの電池が切れかかっていたことが原因のようだった。
スマートキーの開錠ボタンが動作しなかった原因
朝の気温が0度に近い時、スマートキーの電池が消耗している場合は電圧が弱くなり、スマートキーを使っても開錠しないことがあるそうだ。
盗難防止システムが作動した理由と警報を止める方法
スマートキーでロックした場合、30秒後に盗難防止システムが自動で作動を始める。そして、車内から手で開けようとすると警報が鳴る仕様なのだ。
警報を止める、またはシステムの動作を止めるには、スマートキーの開錠ボタンを押すか、エンジンをかける。(こちらが参考にしたサイト)
私の場合は、スマートキーの開錠ボタンが効かなかったので、毎朝、起床したとき、近所迷惑なのを申し訳なく思いつつ、エンジンをかけて、運転席側のドアにある「一斉開錠ボタン」を押して、やっと車外に出られるというルーティンワークができた。
まったく、「Jucyレンタカーで借りた人みんながこんな不便なことをやっているのか。まさか、俺だけじゃないだろうな。」と疑問に思った。
東京での人込みを離れて隠遁生活を送るつもりでニュージーランドに来たというのに、日が昇る前からみんなを叩き起こすという騒動を起こしたことに自己嫌悪した。さらに、こんな大事なことを説明もせずに出発前にどこかへ行ってしまったJucyレンタカーの整備士を呪った。
私は人生最大級のトラウマが出来たので、しばらく、車のどこをいじっても警報が鳴ってしまうのではないかと過剰な疑心暗鬼になった。
いったい、どの面を下げて車から降りればいいというのだ。周囲から「こいつか、未明からクラクションを20秒、二回も鳴らしたのは。」と見られるのが恥ずかしかった。
おそるおそるドアを開けてみた。警報はならなかった。運転席から出て、地面に片足付けた時はこう思った。「はあ、何事もなく地面に足を着けることができた。これじゃ、アポロ宇宙船の飛行士が月面に立った時の感動と同じだよ。なんで、こんな何でもない事にいちいち安堵し、感動しないといけないんだ。車をJucyレンタカーに返却するとき、あの整備士に絶対に文句を言ってやる。」
ドアの開閉時のトラブルに過敏になった私は防衛策として、私が車の付近にいるときは、ドアをかすかに開けた半ドア状態にしておくことにした。
文通アプリ Slowly で作った友達と実際に会った。
私はニュージーランドに来る前に、ニュージーランドの友達を作っておいて旅行中に会おうと思っていた。
友達は文通アプリSlowlyを使って作った。このアプリの会員になると、国・性別・年齢・自己紹介文を手掛かりに友達になりたい人へメッセージを送る事が出来るのだ。ただし、その名前の通り、メッセージは数日かかって相手に到着するので、一回のメッセージは十分に推敲して送らないといけない。文章に間違いとか漏れがあっても、即座に訂正ができないからだ。無料会員だと一日あたり一人に一通しか送れないが、有料会員だとこの人数制限が無くなり、何人にも送る事ができる。

どうして、文通アプリを使うのかと言うと、文通する人に悪い人が少ないからだ。全くいないとは言えない。しかし、他のSNSでは、矢継ぎ早に言葉を並べて詐欺をする人が沢山にいるのに対して、相手に十分考える時間を与える文通は詐欺をする人にとって不都合なシステムなので詐欺をする人は他所へ行くのである。
私は文通が好きだ。理由は、文通という意思疎通は体よりも先に魂と出会う仕組みだからだ。
普通の出会い方はこうだ。人は相手の外見を見て意思疎通すべきかどうかを決める。次に意思疎通してみて付き合うかどうかを決める。この順番だと、偏見による「ふるい」の後に、知性による「ふるい」がくることになる。
文通はこの「ふるい」の順番が逆になるのだ。このことが、私にとって知性が偏見を克服したようで心地いいのだ。
文通で親しくなったら、WhatsAppで連絡を取るようにした。日本ではLINEが主流だが、世界ではWhatsAppが主流なのである。
ところで、WhatsAppはSIMを替えても引き続き使えるのだろうか、という疑問がわく。答えは、イエスだ。

私は二十人くらいのニュージーランド人と文通し、結局、この旅で三人の友達と会う事ができた。
午前中に、そのうちの一人と会う約束になっていた。若い男性で元船大工で今は工場で何かを作っているエンジニアだそうだ。このロトルアに住んでいて、会いに来てくれることになっていた。
私は机といすを出し、対談の用意を済ませた。

友達を出迎える用意ができたところで、私は車内で朝ごはんを食べた。

10時になると彼が赤いピックアップトラックに乗ってやってきた。
ニュージーランドでの住み心地とか、仕事のこと、これからどこを観光すべきか、等を話した。

彼が去った後、私も出発した。目指す方向はウェリントン(Wellington)という南島へ渡るためのカーフェリーが出ている港町だが、今日はそこまでの中間地点でいいと思っていた。
キャンパーメイトで調べ、山の中の無料キャンプ場、Poutu Intake を目指すことにした。

























